爪水虫の治療で飲み薬を処方する医師が少ないことに驚き!
爪水虫の検査や治療薬を処方できるのは皮膚科だけです。
飲み薬を処方してもらって治療すれば、80%前後の確率で治療することができます。
だから皮膚科での治療はほぼ飲み薬によって行われるものだと思っていたのですが、実際の現場では意外な結果が出ていました。
2015年の「爪白癬治療の実態把握のためのアンケート」では、50名強の皮膚科医による回答が行われました。
アンケートの結果は、内服薬(飲み薬)を処方したのが41.4%、塗り薬を処方したのが42.9%。
※併用も含むと思われます。
飲み薬と言えば最も心配されるのが副作用です。
それでも8割くらいは飲み薬が処方されていると思っていたのですが、半分以下だったのです。
爪水虫には飲み薬が最も効く
飲み薬が処方されたのは半分以下でしたが、アンケートを行った皮膚科医の共通認識として、飲み薬が最も爪水虫に効くというのは間違いないようです。
2014年9月に爪白癬の適応を有する初めての塗り薬「エフィナコナゾール」が登場し、そちらへの期待も込めて塗り薬での治療が増えたという背景もあっての結果ですが、飲み薬を上回るほどの効果だとは考えていないかったと思います。
それでも飲み薬の処方が少なかったのには、飲み薬の弱点とも言うべき以下のような理由があったためだと思われます。
- 副作用の心配が少なく処方しやすい
- 新しい塗り薬の効果が期待できる
- 現在飲んでいる他の薬との併用禁忌
- 患者が塗り薬を希望している
- その他
飲み薬はきちんと定期的な検査をしていれば、重度の副作用リスクは抑えられますが、軽度のものを含めると医師の立場でも心配になるのは当然です。
また、飲み薬の中には併用禁忌(他の薬と一緒に使ってはいけない)が多いもの(イトラコナゾール)もあり、爪水虫への効果が高いと分かっていながらも、処方しにくいという気持ちがみてとれます。
患者が飲み薬は使いたくないという意思表示をすることもあり、やはり副作用についての懸念が伺われます。
こういった理由により、飲み薬の処方が少なくなっていました。
8割くらいは飲み薬での治療だろうという私の想像は全くの的外れだったわけです。
塗り薬について
では、塗り薬が爪水虫に効果的なのかというと、皮膚科で出される薬であっても塗り薬は治癒率が低く、20%以下の薬もあります。
皮膚科医師でも塗り薬について以下のような意見が多くなっています。
- 薬剤費が高い
- 飲み薬の方が効果が高い
- 時間がかかる
- 重症化した爪水虫への効果が低い
飲み薬は使いたくない。塗り薬は効果が低い上に費用が高い。
爪水虫を治せると思って皮膚科に行っても、飲み薬を使えない、又は使わないのであれば、治る期待感も減少してしまいますよね。
私の考えですが、もし皮膚科で爪水虫の治療を行うのであれば、副作用の発症や服用中の薬との併用禁忌がなければ、きちんと医師とお話をして、飲み薬での治療をした方がいいのではないかと思います。
血液検査などの手間は必要になりますが、その方が通院する意味がはっきりすると思います。
もちろん飲み薬が使えなかった場合は仕方ありません。
通院するには時間やお金、体力が必要です。
そこまでするなら飲み薬で治療したいところですね。
現在も副作用のリスクが少ない飲み薬の開発は続いています。
厚生労働省から薬の承認を得るための臨床試験(=治験)も検討されています。
一刻も早く副作用の少ない飲み薬が開発され、1人でも多くの爪水虫患者の願いが叶えてほしいですね。